アリゾナ州スコッツデールに本社を置き、全米で81,000エーカーの土地を管理する国際的な不動産資産管理会社が、人気を博す賃貸住宅市場に参入することになりました。40年以上前にカナダのカルガリーに本社を設立し、昨年スコッツデールに本社を移したウォルトン・グローバル・ホールディングズ社は、フェニックス都市圏を含む全米で、2,500戸の戸建賃貸住宅を開発する賃貸用建設(BTR= build-to-rent)事業に参入します。ウォルトン・グローバル・ホールディングス社の代表取締役副社長であるポール・メグラー氏は、「自社の土地を多く保有している当社は、現在土地を探している他の住宅建設業者よりも迅速に、戸建賃貸住宅を市場に提供できる立場にある」と述べています。メグラー氏は、これらのコミュニティ開発に向けて合弁会社を設立すべく、当事業に係る様々な住宅業者やアパート開発業者などと交渉していると述べています。全米に所在する81,000エーカーの保有地のうち、約9,000エーカーがザ・バレーに位置していると述べています。
第一弾:バックアイ、クーリッジ
計画では、まずバックアイに位置する597エーカーの土地及びクーリッジの802エーカーの土地を共同で開発し、バックアイに2,500戸、クーリッジに3,000戸の住宅を建設する予定です。これらの住宅は、販売用の戸建住宅のコミュニティと、賃貸用戸建住宅のコミュニティをそれぞれ備えた、新しいマスタープラン型コミュニティとして建設されます。これらのコミュニティの開発費用は、それぞれ約5,000万ドルと見積もられています。メグラー氏によると、前述の2つのフェニックス都市圏プロジェクトの資金調達は、融資と資本の組み合わせで行われる予定です。
「当社は全国で200のマスタープランを所有しています。第一弾の賃用住宅建設では、17のマスタープランにて賃貸住宅を建設する予定です。これらのプロジェクトが完成するまでには、場所にもよりますが、2年半から3年半の期間を見込んでいます」と同氏は述べています。
賃貸住宅プロジェクトの第一弾として、フェニックス、デンバー、オースティン、ダラス、アトランタ、ジャクソンビル(フロリダ州)、シャーロット(ノースカロライナ州)、ワシントンD.C.、ナッシュビルの17のマスタープラン・コミュニティが選定されました。
「重要な点は、当社はすでに土地を保有しているということです。賃貸住宅を建設するための土地をわざわざ探す必要がないということです」と付け加えました。コリアーズ・インターナショナ社のリサーチ・ディレクターであるトーマス・ブロフィーは、2021年だけでも、これまでに戸建/賃貸住宅資産クラスの中で300億円以上の投資家による資本配分の発表が行われたと述べています。
同氏は「今回のウォルトン社の発表の特徴は、同社が即戦力となる多くの物件を保有する機関投資家であり、その戦略を迅速に実行する能力を持っていることです。ここ数年、この資産クラスに大きな需要が持続していることを考えると、この資産クラスの成熟化はまだ始まったばかりだと言えるでしょう」と述べています。
スタートダッシュを決める
カリフォルニア州ニューポート・ビーチを拠点とする住宅市場調査会社ゾンダ社のアドバイザリーマネージャーであるスティーブン・ヘンズリー氏は、ウォルトン社の賃貸住宅分野への進出は、この資産クラスが今後も存続するという論調をさらに強固にするものだと述べています。
また、同氏は「ウォルトン社が持つ土地のポートフォリオは、その土地の一部をすぐに使用できることから、競争の激しいこの分野で先手を打つことができるでしょう」と付け加えました。
メグラー氏によると、これらの賃貸住宅コミュニティの設計を決めるのは時期尚早だと言います。たとえば、4,000平方フィートの小さな土地に、1,700~2,000平方フィートの住宅を建設し、不動産管理会社が配管の修理から景観の維持まですべてのニーズに対応するような、アメニティの充実したコミュニティになるかもしれません。
または、メサに拠点を置くクリストファー・トッド・コミュニティーズや、フェニックスに拠点を置くネックスメトロ・コミュニティーズによって人気となった、密度が高く、戸建でありながらもクラブハウスやフィットネスセンター、プールなどの屋外設備を充実させた、フェニックスでよく知られているようなコミュニティとなる可能性も考えられます。