全米で81,000エーカーの土地を管理する国際的な不動産資産管理会社が、人気を博する賃貸住宅市場への参入を予定しており、当計画にはコロラド州北部のプロジェクトも含まれています。
アリゾナ州スコッツデールに本社を置くウォルトン・グローバル・ホールディングズ社は、全米で約2,500戸の戸建賃貸住宅を開発する賃貸用建設(BTR = Build to Rent)事業を開始します。コロラド州では、数百戸の戸建賃貸住宅と、それに付随する数千戸の分譲住宅を新たに開発することになります。
ウォルトン・グローバル・ホールディングズ社の代表取締役副社長であるポール・メグラー氏は、「自社の土地を多く保有している当社は、土地探しに奔走している他の住宅建設業者よりも迅速に戸建賃貸住宅を市場に提供できる立場にあります」と述べています。メグラー氏によると、同社はまず、様々な地域ですでに管理している17のマスタープランで、賃貸住宅の建設プロジェクトを開始する予定だと言います。
メグラー氏は、これらのコミュニティ開発に向けて合弁会社を設立すべく、当事業に係る様々な住宅建設業者やアパート開発業者などと交渉しています。
ウォルトン社、コロラド州・アリゾナ州の土地担当専務取締役ジェン・ルビー氏は、全米に所在する81,000エーカーの保有地のうち、3,000エーカー以上がコロラド州に位置していると述べています。
第一弾:ラブランド、ロックビー
ウォルトン社の賃貸用建設事業の立ち上げには、コロラド州の4つのマスタープランが含まれています。ルビー氏によると、戸建賃貸住宅は大規模な住宅開発の一部であり、その規模に応じて分譲住宅や商業施設の開発も含む予定であるとのことです。
またルビー氏によると、複数のプロジェクトのうち、2つのプロジェクトの進捗が特に進んでおり、先に建設される可能性が高いと述べています。
1つ目は、ブライトンの北東、ロックビーに位置する100エーカーの土地で、ウォルトン社及びそのパートナー企業が合計約600戸の住宅を建設する予定となっており、うち75~125戸は戸建賃貸住宅になる可能性があります。
2つ目は、ウォルトン社がラブランドの北西部にて併合する254エーカーの土地です。当地には約1,000戸の住宅が建設される予定となっており、そのうち約100〜150戸が戸建賃貸住宅になる可能性があるとルビー氏は述べています。
また、ウォルトン社は、バーサッドに併合される予定の約100エーカーと土地と、エルバート郡未編入地に位置する約340エーカーの土地も所有しているとルビー氏は述べています。これらのプロジェクトの計画はまだ始まったばかりではあるものの、戸建賃貸住宅数は100戸程度になる見通しです。
ルビー氏は「当社は、多くの人々が直面している問題に対する解決を持っています」と述べ、「多くの企業が賃貸住宅市場に参入することを希望していますが、プロジェクトを見つけるのは非常に難しい状況です。当社は既にその解を持っています」と付け加えました。
都心から離れた場所では、より手頃な価格の住宅を建設することができるとメグラー氏は言います。また、コロラド州は当社が将来的に成長すると考える条件にも合致しています。
ルビー氏は、「当社が保有する土地は、主に成長過程にある場所に位置しています。当社は、次の開発が起こり得る場所に参入することを目指しています。つまり、人々が向かい得る場所にいたいのであって、必ずしも多くの人が既に存在している場所に参入したいというわけではありません」と述べています。
これまでウォルトン社は住宅建設業者に販売用マスタープランを販売してきました。しかし、2020年の秋、同社はポートフォリオを改めて見直し、戸建賃貸住宅を提供できる場所について検討を始めました。
メグラー氏は、「戸建住宅は、長い間、建設が進んでいませんでした。しかし、人口動態の観点から見て、需要は非常に高まっており、それは販売面にも見られます。そして、それに火をつけたのが新型コロナウイルスの流行です。新型コロナウイルスの流行は、人々に戸建住宅を持つ機会を提供し、戸建住宅に対する購買意欲や購入の必要性を高めることとなりました。それにより、戸建住宅の供給が追いつかない状況となっています」と述べています。
コリアーズ・インターナショナ社のリサーチ・ディレクターであるトーマス・ブロフィー氏は、2021年だけでも、これまでに戸建/賃貸住宅資産クラスの中で300億円以上の投資家による資本配分の発表が行われたと述べています。
同氏は「今回のウォルトン社の発表の特徴は、同社が即戦力となる多くの物件を保有する機関投資家であり、その戦略を迅速に実行する能力を持っていることです。ここ数年、この資産クラスに大きな需要が持続していることを考えると、この資産クラスの成熟化はまだ始まったばかりだと言えるでしょう」と述べています。
カリフォルニア州ニューポート・ビーチを拠点とする住宅市場調査会社ゾンダ社のアドバイザリーマネージャーであるスティーブン・ヘンズリー氏は、ウォルトン社の賃貸住宅分野への進出は、この資産クラスが今後も存続するという論調をさらに強固にするものだと述べています。
また、同氏は「ウォルトン社が持つ土地ポートフォリオは、その土地の一部をすぐに使用できることから、競争の激しい当分野で先手を打つことができるでしょう」と付け加えました。