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「カンバン方式」土地取引 – 住宅建設業者のキャッシュフロー改善

2020/03/02

土地取引における新たな施策が住宅建設計画のキャッシュフロー改善に寄与しています。

 

米国南東部全体の住宅建築業者は、好立地の未開発地を購入し、魅力的で手頃な価格の戸建住宅や集合住宅のコミュニティを構築しています。しかし、年々その目標を達成するのは難しくなっているようです。そのため、知識豊富なパートナーとの「カンバン方式」ランド・バンキング(ランド・バンキング=未開発地などを取得し、周辺の土地を含めた地域を一体的に活用・再生する手法)戦略を実施する建築業者が増加しています。


10年前に米国の住宅市場が暴落して以来、金融引締め政策により住宅購入希望者が減少し、建設業者が新たな開発資金を調達することが困難になってきました。この厳しい金融環境は、建設業者や住宅開発業者に永続的な悪影響を与えています。

過去50年間、米国の住宅着工戸数は、年間平均150万戸の戸建および集合住宅の着工戸数を記録してきました。好調な国民経済と低い失業率にも拘らず、不況の底では47.5万戸という低水準に落ち込み、2018年の住宅生産数は120万戸と予想される水準までゆっくりと増加するに留まっています。

 

現在のところ、新築住宅の着工戸数は、実家から独立、結婚、子供を持つとされるミレニアル世代からの総勢8,400万戸に昇る潜在的な住宅需要を大きく下回っています。今こそ、建設業者がこの新たな需要の波に対応するために、手頃な価格の住宅の生産を拡大する理想的な時期なのです。

 

残念なことに、建設業者は、2019年に突入するにあたり、建築材料への高い関税と熟練労働者の不足を含む深刻な財政的逆風に直面しています。一方で、金利引き上げという連邦準備制度理事会の政策により、住宅ローンの月々の支払い額の増加に直面する限界購入者(=消費者余剰を享受する余裕がない購入者)は、住宅を手頃な価格で購入できなくなっています。

 

これらの財政的圧力に加えて、戸建住宅着工の約25%を占める全米の株式上場住宅建設業者は、未開発地及び許認可取得済の土地の保有を最小限に抑える必要があります。ウォール街が建設業者を製造業と見なしており、その運転資金を開発、建設事業に充当したいと考えているからです。

 

株式未上場建設業者も同様の問題に直面しています。既に銀行の多くが、収益を上げていない土地の取得には融資したくないとの見方を示しています。プライベート・エクイティ・ファンドのような他の資金源は、一般的に高額なコストと制限的なコベナンツを伴います。つまり、土地の資金を必要とするあらゆる規模の建設業者は、独自の土地取得に苦戦しています。

 

パートナーシップの構築

金融引き締め、土地在庫の不足、全体的なコスト上昇という財務上の課題に直面している大手株式上場および地域に根差した住宅建設業者は、次のプロジェクト時に必要に応じて適切な土地を提供してくれるパートナーを模索しています。

 

この「カンバン方式」モデルは、米国の自動車メーカーや航空会社、その他のメーカーにとって非常に効果的であることが証明されています。現在では、綿密な計画に基づき、同様のアプローチを用いて、賢明な資本運用を行うことで住宅建設業者のキャッシュフローを改善することができるようになっています。

 

例として、フロリダ州では、オーランド、タンパベイ、ジャクソンビルには、住宅開発に適した比較的安価な大規模な土地が残っています。米国南東部全域で地価が上昇しているが、25万ドルから40万ドル台の手頃な価格の戸建プロジェクトに適した土地は、今日の市場の「スイートスポット(=最高の結果をもたらす領域)」となっています。

 

土地が割高になっており、建設業者にとって取り壊しや垂直構造物が唯一の選択肢となっている既成市街地とは異なり、これらの郊外または「準郊外」地域の土地価格は、建設業者が戸建または低・中層の集合住宅戦略に焦点を当てることを可能にしています。

 

土地の価格が低いことに加えて、市場の人件費も都市部よりも低い傾向にあり、建設業者や住宅開発業者にとって財務的な魅力が増しています。

 

しかし、将来的に買い手や賃借人を呼び込むであろう500から5,000エーカーという区画を新たな準郊外地域で探すのは、入念な市場調査を要します。新築分譲住宅や賃貸住宅の需要の主な要因である潜在的な人口、雇用、所得の増加に関して、すべての都市の立地条件が同様というわけではないです。

 

もう一つの課題は、未開発地を新しいコミュニティにするために必要な、長期的かつ費用を要する計画、許認可取得プロセスです。米国南東部の主要市場では、大規模な用地を戸建や集合住宅の建設のために準備を整えるまでに3年以上かかることもあります。


これらの課題への対応

成功に秘策はありませんが、多くの建設業者が、ランドバンク(=未開発地などの管理・流通・再生を担う組織)を専門とする会社と提携し、市場調査を行い、許認可を取得し、ジャストインタイムの住宅開発のために土地を準備することで、これらの課題に対応しています。


建設業者への多くのコスト上昇圧力や、購入希望者が直面している住宅ローン金利の上昇が留まることはないと予測されるため、このようなパートナーシップのアプローチは、今後1年間でさらに重要度を増すでしょう。

 

いずれにしても、経験豊富なランドバンクのパートナーと協力することで、持続可能な住宅生産のための強固な基盤、そして全国の住宅建設業者および住宅開発業者のためのキャッシュフローを提供することが可能となります。